遺体の消える街

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「これは東京、千葉、埼玉で噂になっている都市伝説レベルの噂話なんだけど……。 事故現場から遺体が持ち去られると言う事件の多発しているんだって」 「へー? で、そのネタの出所は何処なんだ?」 「んと、ネットの怪奇サイト談話集……かな?」 「かな?……じゃないだろ? なんで何時も何時も、そんな怪しげな不思議話ししか持ってこないんだよ、お前は!?」 「だって~、その方が面白そうなんだもん!」 片西【かたにし】は悪びれる事もなく、何時もの如く堂々と、そんな怪しげな怪談じみた噂話を俺達に突き付けてくる。 (たく……コイツ、本当に懲りないヤツだな……?) まぁ、それも仕方がない事だ。 何せ、この場は不思議研究会と言う名のサークルなのだから。 にしても……何で、何時もそんな怪しげな不思議ネタばかりを持ち込むんだ片西春香【かたにし・はるか】よ? 俺は、彼女に軽くガンを飛ばした。 だが、面と向かって、そうしたいのは俺だけでは無い筈である。 同学年の希少な男子、夏地和也【なつち・かずや】や同じく希少な男子にして、俺達の一学年上の気さくな田口先輩こと田口七氏【たぐち・ななし】先輩も内心では、ハッキリとツッコミを入れたい筈なのだ。 だが、我が悪友、夏地は女性に異常な程優しく、田口先輩に至っては男女関係無く、優しいと言う草食男子そのものである。 しかも田口先輩の場合、容姿端麗、頭脳明晰、運動能力抜群と悪い所を探すのが難しいと言う好人物なのである。 しかし、それだけ有能でありながら……。 いや、有能であるが故に皺寄せは性格部分にきていたのである。 そう……大人しい、優しいは必ずしも美徳ではない。 時として、ハッキリとモノを言える方が良い事もあるのだ。 例えば、今回みたいな状況こそが、その良い例であろう。 何せ、この前など片西の持ち込んだ案件で廃ビルを調査した結果、下半身を露出したがる薄手コートの変態男に遭遇し、追い回されるハメになったのだから。 そして、その前は薄暗い人気の無い山の中に響く、奇声とやらの調査に出向き廃屋で男女らんちきパーティーをしてる不良学生複数名と遭遇。 その結果、キレた不良高校生どもに追い回され、皆で必死に逃げ回るハメなったのである。 その後。 「全く、そんな所で盛ってんじゃないわよ!? いい迷惑だわ!」 などと片西は言っていた……。
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