遺体の消える街

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その結果、通学時と下校時、犬やら猫やらに追われる日が続き、終いには下着類(主にパンツ)が突然消えるという怪事件が発生するに至った。 そんな得体の知れない日々の訪れに、俺は心身共に疲弊していったのだが…。 だが、そんな苦しみの日々を過ごす中、不意に俺は善薙先輩のある噂を聞く事になる……。 その噂とは善薙に敵対する者には、不幸な結末が訪れる――というモノ。 そんな不吉な噂だった。 それは学校怪談ばりの不確定要素を含む噂ではあったが、取り敢えず何気に調べてみると……何と善薙先輩は、片西の所属するサークルの部長だと言う事が発覚したのである。 ならば今、俺の身に起こっている事に彼女が関係している事を確認する術は1つしかない。 その方法とは彼女と、敵対しない立ち位置になってみる事。 つまり片西の願いを聞き入れ、この胡散臭いサークルに入る事である。 正直、何の保証もない噂話であるが…。 しかし俺は既に心身共に疲労していた。 つまり、この状況には堪えられる余力は俺の内には、既に俺の内から失われていたのである。 だから俺は藁をも掴む思いで、その噂話にすがり付いた。 半信半疑のままーー。 そして俺は、片西より誘われてより一週間と言う苦悩の期間を経て、漸く…この摩訶不思議なサークルへと足を踏み入れる事となったのである。 結果も、俺の考えていた通り――。 サークルに入った途端、俺の身に起きていた不幸な事象は突如として消失。 俺はその後、心底、善薙覚理という女性を敵に回さないようにしようと思った。 自らの内に、刻み付けられた恐怖に身を震わせながら…。 それより数ヶ月、そんな経緯を経て今に至ると言う訳だが……。 サークル参入前と異なり、今は平無事に過ごせていた。 ただ…正直、取り敢えず2つ程不満はある。 その不満とは、女の頼みは断らない主義の夏地和也の存在だ。 1つにはヤツが夏の名字を有する故に、俺は不本意にもヤツと同類扱いされ、ヤツと共に夏夏ペアなんて呼ばれているのである…。 そして2つには得体の知れない不思議の調査により、不本意なドタバタに巻き込まれる事。 以上のニ点である。 まぁ、実の所、女子比率は高めなのでないと華やかさには事欠かないし、取り敢えず幽霊スポット系の肝試し的なモノが調査対象に上がってないのは今の所、僅かな救いではあったが…。
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