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確かに傷を負えば感染し自分もゾンビになるし、頭を破壊しなければ動きを止めない等……色々とゾンビは厄介ではあるが大半、その動きは遅いし少なくとも物理的手段や、電気等で肉体を破壊し行動不能にする事が出来るのだから。
そう架空の死人すら、物理的な意味では殺せるのである。
だが俺達が遭遇した低温生物は、その枠に当てはまらない。
少なくとも現状を見る限り、明らかに不死だ。
本当の意味での不死の怪物……。
力も強く不死で、知性もある。
こんなの相手に対抗手段もなく、策もなくでは自殺しに行くも同然だ。
ならばどうする…?
だが結局、2人を助けないとゆう選択肢はない。
俺達が助けに行かなければ多分、二度と2人と会えなくなるような……。
そんな気がしていた。
だから、2 人を早く助けに行かなければならない。
しかし……。
どうする?
俺は2人が連れ去られる映像が終わった直後、善薙先輩の方を見詰めた。
正直言って俺……いや、今の俺達には、何の手立てもない。
そう…最早、頼るべきは善薙グループの力のみ。
つまり、善薙先輩以外に頼る相手はいないのである。
が、用意周到な善薙先輩の事だ。
恐らく、何かしらの方法を考えているかもしれない。
だから俺は……俺達は、そこに希望を見出だそうとしていた。
故に俺達は、善薙先輩の言葉を待っていたのである。
そして、善薙先輩は俺達に答えるべく口を開く。
「低温生物の移動ルートは確認出来ているのですか?」
「はい覚理お嬢様、その後の移動経路の確認は出来ております。」
重々しく、響く善薙先輩の言葉を受けて初老の執事が、そう答える。
「分かりました。
時に例のモノは、完成していますか?」
「はい、停止剤は完成しております。
しかし、滅消剤並びに例の装備については、未だ効果が安定せず、幾分かの時間が必要かと思われます。」
「そうですか、分かりました。
では停止剤の準備だけでも、宜しくお願い致します。」
「承りました。」
初老の執事はそう言うなり、その場より立ち去った。
あの初老の執事……確か、中川さんと言っただろうか……?
そして、彼と善薙先輩の話の中にあった停止剤――。
それは聞き慣れない語源ではあったが恐らく、低温生物に有効な何かであろう。
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