厄介事は突然に……。

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「えっと…。 金山未句【かなやま・みく】さんって言ったっけ?」 「はい、二年の金山です。 で、さっきの話なのですが、調査しては頂けませんか?」 「・・・・・・・・・悪いがもう一度、話してくれないかな? 何かイマイチ、話の掴み所が良く分からなくて…。」 「そう…ですか。 それでは今一度、お話致します。」 そんな返事の後、再び、金山と名乗る同学年の彼女の話は続けられた。 正直、再度内容を聞いたのは、その詳細を知りたかった訳ではなく、単純に聞き間違えであって欲しいとの思いがあったからである。 俺がこうして彼女の話を聞くハメになったのは、よりにもよって不思議バカの片西や、色々な意味での不思議ちゃんである善薙先輩より先にサークルルームに到着してしまった事による弊害だった。 俺自身は一番遅い到着時間を狙ってきたつもりだったが、悪い事がある日は悪い事が続くらしい。 よりにもよって、その日は俺以外、誰も到着していなかったのである。 そして、本当に悪い事のある日には悪い事が続く様に出来ている。 そんな時に限って不意に、不思議相談者として現れたのが彼女。 金山未句である。 不思議相談者とはこのサークルの制度の1つで、「不思議事ありましたら、調査致します」的な制度の事だ。 何故そんな事をしてるのかは明確では無いが(いや、それ以前に知りたくもないが…。)恐らくは不思議ネタが尽きない様にとの根回しと、困り事の相談に乗ります的な好印象アピールが目的であろう。 だが、そんな体裁的な話など俺の知った事ではない。 そんなモノは、ただの迷惑事に過ぎないのだから。 そして俺は不本意さを前面に出した表情で再度、彼女の相談内容を聞き続ける。 片西等の不思議マニアには、楽しい事かも知れないが平穏無事な人生を、こよなく愛する俺からすれば、このやり取りはある種の拷問と大差はない。 故に俺は彼女の話を聞き終わるなり、溜め息混じりの返事をする事となった。 「有り難うございます。 大体、話は理解しました。 つまり、得体の知れない救急車が、死体を持ち去る所を目撃したって事ですね?」 「え……えぇ、大まかに言えば、そうなんですが…?」 「大まかに言えば?」 俺は問い返した。 大まかにとは、どういう意味なんだろうか?
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