見えない鳥籠。

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「善薙先輩、話があるのは分かったのですが何故、人払いをしたんですか――?」 「取り敢えず確認しておきたい事がありましたので。」 「えっ……? でも態々、2人っきりになる必要性があるんですか?」 「えぇ、2人っきりでなければ話せない事なので。 」 「えっ…!? 2人っきりでないと話せない事って……。」 (まさか、それって…!?) 俺は、思わず人様に言えない事を想像してしまうが、そんな事は有り得ないと、そんな妄想を慌てて振り払いながら、即座に善薙先輩の顔を見詰めた。 その表情は至って真剣。 よくよく考えれば、こんな時に善薙先輩がそんなフザケタ事を考える筈がない。 ならば話とは何であろうか? 俺がふと脳裏に、そんな疑問を過らせた瞬間、善薙先輩が早々に口を開く。 「時間も無いので、率直に聞きます。 夏橋くん、貴方は特殊な能力【ちから】を持ってますね?」 (――!! やっぱり、勘づいていたんだ善薙先輩!?) 俺は善薙先輩の言葉に、思わず動揺した。 しかし、善薙先輩の口から更なる一言が続けられる。 それは俺が、想像すらしていなかった意外な一言であった。 「実は私も持ってるんですよ、そういった不思議な能力【ちから】」 「えっ……!? 善薙先輩も……??」 (今、能力【ちから】を持ってるって言ったのか?) 俺の聞き間違えでなければ、善薙先輩は確かにそう言った。 聞き間違えでなければ……。 「今、善薙先輩も能力【ちから】を持っているって言いましたか!?」 「はい、言いました。 私の能力は、対象に不幸を呼び込む能力です。 そして夏橋くんの能力は、恐らく何かしらの形で危険を感知する能力……そうではありませんか?」 「・・・・・・・・えぇ、その通りです。」 俺は善薙先輩の言葉に、動揺を隠せぬまま言葉を返す。 (不幸を呼び込む能力…だと……?) 普通に聞いたら、とても信じられない能力【ちから】。 そんなモノが、あるのかと疑いたくなる能力【ちから】。 それは超能力…恐らく、そういった類いのモノなのだろうが、その単語は普通なら簡単には受け入れ難いモノだった。 しかし俺自身が、そういった能力を保有しているが故に俺は、それをすんなりと受け入れられる。 皮肉なモノだ。 平穏な生活を乱すモノとして、忌み嫌ってきた能力だとゆうのに、能力を持つが故に善薙先輩の言葉を疑わずに済むとは…。
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