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「何で、考えを変えたのなっくん?」
「ん…まぁ、何と言うか…ぶっちゃけ、救出プランが穴だらけだったよな~と思ってさ?
考えてみたら、戦争のプロが行くのに俺みたいな素人が同行したら、明らかに足手まといだし、着いて行って俺が殺される様な事になったら、目も当てられないからな。」
「ふーん、本当にそんな説得で引き下がったんだ?
でも可笑しいよね、なっくん?
一度、言い出したら何を言っても聞かないの、どうして急に心変りしたのかな?」
片西は静かな口調で、俺に問い掛ける。
何時も意外に鋭い片西だが、今日は余りにも鋭すぎだった。
まるで嘘発見器の如く、的確に俺の心の嘘を剥ぎ取ってゆく。
「いや、その…なんだ、何度も善薙先輩に無計画な現状を突き付けられてだな…それで流石の俺も折れるしかなかったとゆうか、何とゆうか……。」
「ふーん、そうなんだ?
まぁ、なっくんが無茶するのを諦めてくれたんなら、別にどうでもいいんだけどさ?」
片西はやや、不機嫌そうに俺にそう答えた。
「まぁ……納得してくれるなら、別にどうでもいいけどな?
でも……本音を言えば、俺も夏地や金山さんを助けに行きたいんだけどな…。」
「そっか……そりゃあ、そうだよね?
僕も同じ気持ちだよ…。
でも僕達みたいな素人とじゃ足手纏いにしかならないしね?
何も出来ないのが、悔しいってのが本音だよ。」
「まぁ、仕方がないさ。
所詮、俺らは平穏に暮らしてきた一般市民だ。
戦争の経験があったり、特殊な訓練を受けた経験とかある訳じゃないしな?
結局、俺らみたいな凡人が出来る事はもう無いって事なんだろうな…。」
「うん……多分、なっくんの言う通りなんだろうね…。」
片西は、悔しそうな表情を浮かべたまま、そう答えた。
――――――
――――
――
結局、俺と片西、神波や水無峰は何もせず待機する事になった。
一応、安全の為、事が終わるまで善薙先輩の家に俺達は泊まる事となったのである。
しかし、俺は片西に……いや、善薙先輩を含めたサークルメンバー全員に嘘をついた。
俺は、夏地と金山さんを助ける事を諦めてなどいなかったのである。
確かに、善薙先輩に俺の能力を伝えた際、俺が善薙先輩に俺は言われた。
俺が2人を助けに行けば必ず片西も、俺と共に2人を助けに行こうとするだろうと――。
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