遺体の消える街

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「おい!? せめて夏橋って名字で呼べよ、恥ずかしい!」 「はいはい分かりました! じゃ改めて聞くけど夏くんは、何のサークルを作る気なの?」 「夏くんか……。 何か釈然としないが……まぁ、仕方がない。 そんなに知りたいなら教えてやろう。 俺が作ろと風景観賞同好会、または風景観賞サークルだ!」 「ふーん……。 で具体的な活動内容は?」 「風景を見ながら歩き、心に残った風景はどんな風景かを書き留めて帰宅する。 それが大まかな活動内容だ!」 俺は片西に向けて、真剣な眼差しを向けながら言った。 しかし……。 「成る程、成る程、心に残った風景を書き留めて帰宅っと……。 ……。 …………。 ………………。 ……………………。 ……って、それ単なる帰宅部じゃん! そんなもの同好会やサークルとして成立する訳ないでしょ!? うちの大学がサークル活動必須の大学で、サークル入りたくないってのは分からなくは無いけど、こんな活動内容、絶対に申請通らないよ…?」 「おぃおぃ、帰宅部なんぞと一緒にされるとは心外だな? これは言ってみれば芸術だ。 分かるか? まぁ、もっと分かりやすく言うなら短歌や俳句と類似する類いのモノだな。」 「夏くん……それ多分それ、子供でも嘘って分かるよ? ねぇ、夏くんさ、そんなサボり根性全開で暇を持て余してるよりは、絶対にうちのサークルに入って大なり小なり活動してた方が、健全かつ楽しく過ごせると思うよ? だからね? うちのサークル思いきって入っちゃおう!」 「お前の所のサークルに……?」 「うん、僕の所属してるサークルに!」 その片西の誘いを一瞬、考えたものの3秒後、「嫌だ入らない!」と俺は即座に断りを入れた。 当然、最初から断るつもりだったので即答は可能だったのだが、それが出来なかったのは、ほんの僅かだが迷いがあったからである。 その迷いとは片西の言うように、同好会等の立ち上げは奇跡でも起こらない限り事実上、不可能という事が1つと…。 そして、一分なりとも片西のサークルには異性が居ると言う点である。 何より俺とて、1人の健全な男子だ。 華を求めるのは当然であろう。 だが、ある要素が俺を片西のサークルに入る事を踏みとどまらせていた。 その要素とは、片西が入っているサークルの特異性である。
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