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「まっ、魔力操作の練習なんて地味だし大変だから昔もやってる奴は少なかったけどな」
そう言って、椅子から立ち上がった主は床に胡座をかいて座った。
色々と思う所はありましたが、主が魔力を放ち始めたその瞬間、私の世界と思いは変わりました。
「……綺麗」
無意識に言葉が出てしまいました。
可視化される程の濃い魔力が、主の周りを包み込み一切みだれる事はない。まるで銀色の衣を纏っている様に見えます。そして、それがゆっくりと広がり部屋を私を包み込みます。
何て温かい魔力。
まるで、お父様やお母様の背に乗せて貰ったかの様な安心感を感じます。
「‥‥!?」
自然と目に涙が溜まっていました。
更に魔力の濃度が高まるのを感じました。
窓の外は雲に覆われ星が見えない闇夜。
しかし、この部屋の中は主が放った魔力が時折銀色の光りを放ち星の様にも見えます。
主が放つ魔力は、まるで漆黒の闇夜に浮かび上がった月の様に優しく、それでいて人を引きつけ導く様な力強さと雄大な存在感を感じます。
「‥‥っ!」
我慢出来ず、目から涙が流れる。
……私は本当に愚かだ。
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