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昔の俺は、他人の為に怒り、泣き、笑う事が出来る優しく、思いやりを持った世間一般的に言う、良い奴だった。
努力すれば報われる。
仲間と言うものを心から信頼出来る、と何の根拠もなくそう信じていた。
だが、この世界で3年前に起きた事件をきっかけに俺は変わった。
……いや、変えられたんだ。
あの世界で、裏切られたあの瞬間に。
◆
先生がいない実習の時間。
クラスには俺を含め30人の生徒がいた。
「あぁ?てめぇ調子に乗ってんじゃねぇぞ!!」
俺の腹にひざ蹴りが決まり、蹲る。
「良いぞーやっちまえ」
「「あはははは」」
「うけるー」
(……ちっ)
俺の貴重な睡眠を妨げ、更にはこの程度の虐めを行う屑どもを俺は見上げる。
俺を見下して、優越感に浸っている男子生徒の名前は、海堂響毅だ。
俺を虐めている中心人物で、見た目は金髪を刈り上げた短髪に、耳にはピアスをしている。体は周りの男子生徒よりも大きく、喧嘩になれた筋肉のつき方をしている。
教師ですら手の付けられない不良だと、街でも有名だ。
確か父親は元総合格闘技の選手だと噂で聞いた事がある。その噂が本当なら、親の血を引いた喧嘩のサラブレッドなのだろう。
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