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「きもっ!」
「あの状況で笑うとか、マジ引くわー」
「こいつ立場分かってんのか?」
その他のクラスメイトが何やら言っているが、どうでも良い。
そんな事より、誰が強者だ……。
お前の様な力を振り回す事しか能が無い、井の中の蛙のお前がか?
面白い冗談だ。
俺は制服に付いた埃を払いながら立ち上がる。
高校を卒業するまで我慢するつもりだったが、流石の俺も限界だ。
そして、立ち上がった俺を怒りを露わにして睨み付ける海堂にだけ|僅かな殺気を放った。
「っ!」
それだけで、海堂は半歩後ろに下がり怒りの中に恐怖と混乱が見て取れた。
俺の口が吊り上がる。
「てめぇぇえ!良い度胸だ!面貸せ、俺様にそんな生意気な態度を取って無事で済むと思うなよ!!」
さぁて、無事ですまないのはどっちかな?
「ーーッ!(これは!?)」
その時、俺は|この世界では感じる筈のない魔力の流れを足下から感じた。
魔力を感じた足下に視線を向ければ、そこには3年前にも見た覚えがある魔法陣が描かれていた。
取り巻きの2人がおれの脇を固めて逃げられない様にし、おそらく体育館裏か何処かの人目のない所に連れて行こうとして、ここでやっとこの教室の異変に気付いたようだ。
まだ、魔力の光こそ弱くしか放っていないが既に効果の一部は発動している筈だ。
そんな俺の予想を証明する様に、海堂とその取り巻きが叫ぶ。
「あれ?」
「どうした」
「ドアが開かない!」
「はあ?何言って、どうなってんだ!?」
海堂達の反応で、今頃になって異常に気付いた連中が騒ぎ始めた。
「何で開かないんだ!」
「ふざけんな、どうして俺がこんな目に!!」
「誰か助けて!」
「助けてママー!!」
クラスの連中の悲鳴を無視して俺は冷静に現状を整理する。
魔方陣内の対象の拘束、膨大な魔力、魔力が存在しない世界に出現した魔方陣。
召喚魔法か。
異常事態にパニックになるクラス、着々と魔力を貯め光を放ち始めた魔法陣を見ながら俺は溜め息を吐いた。
「また、召喚か……」
その瞬間、視界を覆い尽くす程の光を魔方陣が放ち、クラスにいた30人の生徒は地球からその存在が消えた。
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