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見張り等の兵士が高らかに叫ぶ。
「来たぞ!」
「来たぞ!!竜だ!l竜が来たぞ!」
城門前の広場につめかけた見物の人々から、ざわめきが波のように立ち上がる。上のテラスで、ジュナは彩色煉瓦の手すりから身を乗りだした。
遠くの方で、何かがきらりと光った。西の砂漠に続く街道に砂煙が立ち、騎馬の影がいくつも現れる。
いや、騎馬ではない。馬ではないのだ。あれは・・・あれは・・・。
「竜!」
本当に、竜なのだ。
今までは伝説でしかなかった。想像上の生き物だと思われていた。
竜。
その竜に跨り、金の髪を風になびかせた、猛々しい戦士の群れ。
西の果て、人跡未踏の死の砂漠の彼方から、忽然と現れた男達。長い戦いに疲れ果てたこのシトリアの国に代わって、敵国マイダーと戦おうと申し出て来たよう兵の一団。
下の市街から、やっと竜の姿を認めた人々の歓声が沸き上がる。
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