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「すごい!すごい!」
近づいてくる一団の細部が次第に見分けられるようになり、興奮したジュナは叫んだ。
十数人の騎士全員が、揃えたように金髪だ。
遠くからキラキラと光って見えたのは、首や肩に重たげに着けられた、黄金の装身具。いぶし銀に所々玻璃の珠を嵌め込んだような光沢を持つ、幅広のズボン。
そして、竜の鱗の煌き。
ジュナは竜から眼が離せない。
馬よりも丸く、大きな頭部。白い牙を覗かせる大きな口。
大地を踏みしめる、たくましい二本の脚。
胸の近くに揃えられた、人間によく似た腕。
真っすぐに後ろに伸ばした太い尾でバランスを取り、不思議なほどリズミカルで優美な動きで、大股に進んでくる。
恐ろしかった。
恐ろしく、荒々しく、輝かしく、美しい。
「すごい!」
「野蛮ね」
ジュナとネアトリスが同時に言った
「なんで!?姉さま、素晴らしく綺麗じゃないの」
「彼らはただの傭兵よ」
こういう時の姉の口調は母そっくりで、いつもジュナはいらいらする。お前は馬鹿な子供だからと言われているような、気取った響き。
「粗野で、無教養で、野蛮な男達よ。まだ彼等を雇うかどうかも決まったわけではないのだ
し」
(だって雇わなきゃマイダーに勝てないんでしょ!)
ジュナはふくれた。
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