第十二章

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 そしてまた、知らせが入る。 「シトリア人の子供が足りません」  ライラスはぎょっとして、焼けた母屋を振り返る。 「いえ、焼け死んだのではなく。  ジュナ殿の親衛隊と呼んでいた一団全員が行方不明なのです」 「あの子供達か。リーダーのキオは?」 「モルト殿と、竜舎で」  ああ、そうだった。  孤児院を脱走して荒野で生き延びて来た子供達だ。  幼くても、危険を回避する能力は優れているはず。  どこかにまとまって隠れているのだろう。  早く出てきてくれ。  また一つ、ジュナ殿が戻った時の心労の種が増えてしまう。  あの二人は、必ず戻る。 「北の見張りを絶やすな」  ライラスは焦げたので肩で切り揃えてしまった金髪をいらいらとかき上げると、砦の巡回に戻って行った。  
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