4月1日 午前6時

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まず枕元に散らばっている本を持ちあげ、1カ所にまとめた。 『古典文学大系』と書かれた分厚い本たちは、私にはせいぜい枕にしかならないけど、コータローはきっと真剣に読んでいたに違いない。 本を片づけて空いた場所にしおらしく正座し、静かに布団を揺さぶった。 自分比、落ち着いた声を意識してみる。 「コータロー」 ……。 山は動かない。 もう少し強めに揺さぶって、声のトーンも上げてみる。 「コータローさん、起きて下さい」 ……。 やっぱり、動かない。 それでは……。 ドキドキと早鐘を打つ心臓を抑えながら膝立ちになって、山に少し乗りかかるように近づいた。 布団からわずかに見えている髪の毛を指ですくい、さらした耳に今にも触れそうなくらい唇を近づけて囁いた。 「コータローさん。  起・き・て」 「…………  うわわっー。  な、何!?  何事ですかっ!?」 目の前の山が大きく揺れて、崩れた。
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