4月1日 午前6時

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ガバッと半身を起こしたコータローは、きょろきょろとあたりを見回し、すぐそばに人がいることに気づいたらしい。 そのまま慌てて布団の周りを手探りし、畳に転がっていた眼鏡をかけた。 眼鏡越しにあらためてこちらを見つめてくる。 「……綾乃……さん?」 彼がかけている度の強い眼鏡は、レンズも分厚めで、子犬のような瞳は奥に引っ込んだように見える。 その表情を見て、心の中で呟く。 ……はい、見た目50%ダウン。 一時期はコンタクトレンズにしていたけれど、ケアが面倒といって眼鏡に戻してから、ずっとそのままだ。 自分の外見になんて、およそ無頓着。 でも、そんなコータローが好きなのだ。 もっと本音を言えば、適度にダサくいてくれる方がこっちも都合がいい。 「コータローさん、おはようございます」 あらためて深々と手をついて挨拶をする私に、きょとんとするコータロー。 いつもなら朝台所で会っても、「コータロー、おはよー!」ですましている私の、らしくないふるまいに戸惑っているらしい。 「オハヨウゴザイマス……というか、さっきの、綾乃さん?」 自分の耳を指でごしごしとこすりながら、尋ねる。
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