終焉 : はじまりの、音がする。

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 冬の寒波が押し寄せているらしい。年末に積もった雪はもう何処にもいないが、寒々しい北風だけが居座る。  百合の花を買った。貰う事は多いが、滅多に買う事の無い花を店員と共に選んで、彼によく、似合うと思ったから。 日は駆け抜ける様に、そして、新しい年へと足を伸ばした。 マフラーから抜ける白い息を横目に、人通りがまだならな道を進む。  多くない人通りの中、佇む姿を見つける。 「特別賞おめでとう」  あの後、授賞式へと移り槙に腕を引かれるまま方々へと連れていかれた。 「ありがとう」 「それから、今年もよろしく、と言ってもいいのかな」  困った様に眉を下げた比野の、その表現は少しおかしく、何も言わず彼のコートの裾を引いた  最優秀賞は逃したが、審査員特別賞なるものを付けてくれた。 今までとったどの賞よりも嬉しく、初めて、認められた気がした。 環の音が変わったと伝わるのはそう、遅い話ではなく、環境が元に戻るどころかそれを越えてしまった気さえした。
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