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ざわざわと騒ぐ2年1組の教室に先生が入って来ると、一瞬にして静けさが訪れる。
その後に香蓮の姿が現れると、再び口々に話し合う声が漏れ出した。
「はーい、静かに。今日は転校生を紹介する。さ、自己紹介して」
ざわめきはぴたりと止み、生徒たちの目が香蓮に注視される。
「神楽橋香蓮です。ちょっと身体が弱くて乱暴な事は苦手ですけど、お友達になれるよう一生懸命ガンバります。よろしくお願いします」
小首を傾げてお辞儀をすると
「けっこう可愛い」「俺はイケる」「おにぎりがおいしい」
とそれぞれが隣の席同士で顔を合わせたり指を差したり、思い思いにざわざわと囁き合う。
言ってる言ってる。さてと、私も。
イケメンセンサー、オン!
ピピピ……
目の前にレティクルが現れ、男子の顔に照準が合わさると視界上の数値データが目まぐるしく動き出す。
注:イケメンセンサーは特殊能力ではなく香蓮個人の妄想の産物です。
ふふふ、貴方たちは私を品定めしているつもりでしょうけど、逆に貴方たちの方が品定めされているのよ。
深淵を覗くものは深淵からもまた覗かれている、ってね。
ピピピ……75、82、76……すごい、高イケメン反応がこんなに。
1つのクラスにこんなにイケメンが居るなんて、オラおどれーたぞ。
注:あくまで香蓮個人の感想です。
ピピピ……94!ウソ?オラわくわくすっぞ!
一番後ろの窓際、特等席。しかもこちらに手を振っている。
レティクル内の男子に注目すると、それは今朝の笑顔教信者だった。
お前かー!
めっちゃ笑顔で手を振ってるよ。私たち知り合いじゃないからね。
露骨に目を逸らす香蓮。
「やあ、また会ったね」
なんか遠くから話しかけてきた。知らない人なのに。
「あはは、どうもー」
みんなの目もあるので無視は出来ず、適当に返事を返す。
「なんだ神楽橋、福笑門と知り合」
「いえ知らない人です」
食い気味に否定する。
フクミカド?公家か!
「今朝、友達になったんですよ」
はるか後ろの席から口を出して来る。
ちょっとフクミカド何言ってんの?
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