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来助は目を覚ますと、保健室のベッドに寝かされていた。
傍には泣きそうな顔の香蓮が座って来助の様子を伺っている。
「うう、もしかして、僕」
「ご、ごめ……」
「改造手術を受けて変身出来るようになった?」
「なるか!」
「ぐふっ」
香蓮の肘が来助に落ちる。
「こら、静かにしなさい」
カーテンの向こうから保健室の先生の注意が飛んできた。
「すみませーん」
香蓮が口に手を添えて返事を返す。
「いやあ、てっきり改造手術を受けて更なる進化を遂げたのかと」
「保健の先生そんな改造手術出来る人なの?てか、私、謝らないからね。アンタが悪いんだから」
香蓮は立ち上がり、腕を組んで視線を背ける。
「何を謝るの?」
「え?だって、あの……アンタの事、殴ってしまったから」
「そうだよ!初めて見たよ、あんな凄い技。ラッキーだったなあ。あれって……イテテテ」
そこでカーテンが開いて保健室の先生が顔を覗かせた。
「目が覚めたなら女の子は教室に戻りなさい。ほら、もう大丈夫だから。いつまでも泣いてないで」
「最初から泣いてません」
香蓮は顔を真っ赤にして保健室から出て行った。
「あの子、あんなちっちゃい身体で大きな貴方をおんぶして入って来て、目を真っ赤にして『助けてくださーい。目を覚ますまで居させくださーい』って頼んでたのよ。とっても心配だったのね」
ドアが閉まるのを見送りながら先生が言うと、再びドアがガラリと開く。
「心配もしてません!」
そしてピシャリとドアが閉まった。
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