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「いや、犬なのは分かってますけど」
だが青年は私の台詞を横目に「どうぞ」と何事もなかったかのような顔で言う。
「……って、スルー!?」
青年は猫を抱えたまま、玄関を入ってすぐの部屋に通す。
はぁ、こんなんでやっていけるのかな。
しかし、父から紹介して貰った手前、帰る訳にもいかない。
これも身から出た錆だとひとつ溜め息をつき、上がらせて貰った。
廊下を挟み通されたそこは、少し広めの、縁側のついた和室だった。
部屋の中央には、四角い木製の座卓と落ち着いた色調のソファが一組置かれていて、見事な和洋折衷感を醸し出している。
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