第1章 木造平屋の探偵

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   最初、完全に道間違えたかと思ったよ。  けど、本当にこんな場所にあるのか?  メモの端に書かれた住所を見ながら内心ごちていると、進行方向に住民発見!  歳は同じくらいかな。白いワイシャツ姿の一見感じの良さそうな青年だ。  これは道を訊くチャンスと、高鳴る胸を抑え、思い切って呼び止めようとした。その時、ふいに青年がこちらに背を向けてしゃがみ込む。 「――!」  どうしたんだろう。具合でも悪くなったんだろうか?  そう思ってゆっくり青年の方に歩いて行くと、 「どうしたんです?」  高めの声が私を呼び止めた。 「!?」  こちらに背を向けたまま、思っていたことをずばりと言い当てられて、心臓が大きく跳ね上がる。  
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