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「……そうですか。それは困りましたね」
私は何も言っていない。だが少し間を空けて言葉を返してくる高めの声に、私は内心驚きを通り越して軽い恐怖を覚えた。
何、この人!?
顔はいいのに、壁に向かって独り言とか、完全にヤバイ人だ!
口調こそ穏やかだったが、かえってそのことが恐怖を掻き立てた。
「目を合わせるな」と自分に言い聞かせながら、足早にそこから立ち去る。
突き当たりの門を左に曲がってすぐ、一軒の家が視界に入る。
「もしかして、ここ?」
目の前に現れたのは、やたらと広い敷地の木造平屋。
一瞬間違えたかと思い表札を確認したが、そこにはしっかり『篠宮』とあり、更にその下には『篠宮探偵事務所』とあった。
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