第1章 木造平屋の探偵

5/18
前へ
/80ページ
次へ
   メモに書かれていることと、目の前の表札を見比べてみる。  やっぱり、ここで間違いないみたいだ。けど、大きな家……。  インターホンを鳴らす手前で指が止まり、どうしようかと戸惑っていると、 「家(うち)に何かご用ですか?」 「はいっ!?」  後ろからいきなり声をかけられ、肩が大きくびくりと跳ね上がる。ゆっくり振り返ると、そこにはさっきの独り言青年が立っていた。  声が、変な声が出ちゃったじゃない!  恥ずかしさに頬が熱くなる。  その間もずっとにこにこしていた彼の手には、茶トラの猫が一匹抱えられていた。  
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加