第1章 木造平屋の探偵

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   入り口付近で棒立ちになっていると、足元を先ほどの白いポメラニアンが擦り抜けてゆく。  それと同時に「どうぞ、座ってください」と着席を勧められてしまった。  取り敢えず言われるがままに手前のソファへ座ると、ポメラニアンが足元にお座りし、満面の笑顔で見つめてくる。  正面から見たそれは、片足がちょこんとはみ出した、なんとも愛嬌のあるお座りだった。  「えへ」と笑うその子を見ているだけでほっこりした気持ちになり、鼻先に手を伸ばす。  ふかふかとした、見た目どおりの感触だ。犬は撫でられることが嬉しいのか、目を細め掌に鼻先を擦り寄せてきた。 「動物はお好きですか?」  白いポメラニアンを撫でる私に、彼が訊いてきた。  
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