今はない話

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数日後父親の葬儀は終わった。 そのあいだ特に何も記憶がなく どうしていたのか分からない。 ただずっと父親の時計を持っていた。 白兎というモノを受け継ぐ時に作るものだ。 能力は様々で父親は時間を巻き戻すというものだった。 でも小さい頃無闇に巻き戻すことはよくない、と言っていて使っているところを今まで見たことがなかった。 そんな時計を見ているとたくさんの父親との思い出が蘇ってきて涙が止まらなかった。 二人で誕生日をお祝いしたこととか、 こっそりおもちゃを買ってもらったこととか、 色んな楽しいことが浮かんできた。 最近ではどうでもいいなんて思っていたけど失って初めて気づくってこういう事なんだと冷静になれない頭で思った。
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