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隣から聞こえてきた言葉に思わずそんな声が漏れた。
「......あ?隣に誰かいやがんのか?」
訝しげな声が聞こえた瞬間、しまったと口を塞いだが時既に遅く。ガチャ、という音がしたかと思えば俺が入っている個室の扉の前に人の気配を感じる。
「...オイ、誰が入ってんだよ」
この状況で誰だと聞かれて素直に答えるヤツがいると思うのか。俺はもちろん返事はせず必死に息を殺していた。
「...あ?無視してんじゃねえぞ」
「..................」
「......っんで返事もしねえんだよ.........まさか......敵のリーダーの生徒会長の............えーと.......?......とりあえず、会長じゃねぇだろうな?」
「.........!」
「あ?まさかマジでそうなんか?......何隠れてんだよ、出てこいよ。...扉壊されてえのか?」
......まずい。ここに隠れてやりすごせなくなるのは時間の問題かもしれない。今にも扉を壊しそうな勢いの坂上のイラついたような声がする。
段々と扉を叩くような音がし始めた頃。観念した俺は、扉を開き、外に出た。
「.........坂上。扉を叩くのはやめてくれ」
「......お前、生徒会長だろ?」
「......そうだ」
「何で早く返事しねぇんだよ。もう少しで叩き割る所だったぞ」
「......学校の備品を破壊したら校内の清掃活動させるからな」
俺がそう言うと、チッと不愉快そうな舌打ちが聞こえた。
「......ところで、坂上。こんな所で何をしているんだ?」
「......別に何でもいいだろ」
「それはそうだが...何やらいらついている様子だったから......コンボがどうとか言っていたが、何が...」
「余計な詮索すんな、面倒くせぇ。......ただでさえ面倒な事に巻き込まれてイライラしてんだ、拍車かけるような真似すんじゃねえ」
......取り付く島もないな。俺と話す事が不快でしかないと言わんばかりにしかめっ面をしたままの坂上を見て心の中でため息をついた。
「...邪魔をして悪かったな。俺はもう行くから」
俺としてもここにこれ以上長居するつもりは無かったため、早々に出ていこうとした、時。
「......おい待てよどこ行くんだよ」
あろう事か、坂上にいきなりがっつりと腕を掴まれ、出口へと向かうのを阻まれた。
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