会長宣言！(仮)

気づき

「い、いや、今のはだな.........」

「.........そういえば、怪我してジャケット脱いだ時に俺の事見てそう言ってたな.........」

ふいに話に入ってきた坂上が、俺の顔を見て何やらにやりとほくそ笑んだ。.........い、嫌な、予感がする.........

思わず後ずさりしかけた俺の動きを止めるように伸ばされた腕が俺の肩に回される。そのまま近づいてきた坂上の顔が俺の耳元に寄せられた。

「.........俺の身体、良かっただろ？」

「！！！.........ば、バカ、その言い方は何か.........おかしいだろ.........！！」

「.........何がだよ？お前が言ったんだろ？俺の身体を見て.........イイ身体だ、ってさ」

「確かに言ったが.........！！.........だけど、何か、その言い方は.........！！」

「ふーん.........俺を遠ざけてた間に、随分そいつとよろしくやってたんだな、ミナは」

「そ、そんな事は.........！！！」

マズイ。これは、非常にマズイ。大我の顔からみるみる表情が消えていく。.........これはマズイ。普段何かと感情表現の激しい大我だが、マジでキレた時は逆にどんどん表情が消えていくんだ。

やばい.........これは、本当に.........マジギレされたら.........後はもう何を言ってもきかなくなる.........！！

「た、大我.........坂上が言った事は.........本当だけど.........本当じゃ、なくて.........俺は、そういう意味で言ったんじゃ.........」

「.........そういう意味って何だよ？」

「！！ッ.........だから.................その.................せ、性的な、意味じゃ、なくて.........純粋に.........よ、よく、鍛えてるな、って、意味で.........」

自分で説明しながら、だんだんと恥ずかしくなってきて顔に熱が集まってくるのがわかる。だって、おかしいだろう。俺は、一体どうしてこんな弁明をしているんだ.........？

そもそも性的な意味って一体何なんだよ.........同じ男同士で身体を褒めるっていったら、鍛えてるなって意味に決まってるだろ？！他に何があるんだよ.........！

「.................オイ、お前。ヤクザの息子」

「あ？んだよ.........つうか、俺には坂上昴っつー名前があんだよ。変な呼び方してんじゃ.........」

「ミナを離せ、ぶっ殺すぞ」

「.........へぇ。そういう顔もするんだな、お前」

俺をあっさりと解放した坂上が、いきなり大我の方へ向かって俺の背を押す。力が抜けていた俺は、為す術もなくそのまま大我の胸に飛び込んだ。

「わぷっ.........」

「.........」

「.........た、大我.........」

「.................」

「.........大我.................？」

「.........ダメだ.........」

「.........へ.........？何.................っ、ぶ.........！！？」

「どう考えても、俺のミナが可愛すぎんだろ.........！！！！」

意味のわからない言葉と共に、いきなり力の限り抱きしめられた俺は、頭にいくつものクエスチョンマークを浮かべながら、今のは状況を理解しようと必死に頭を回転させていた。