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「.........とにかく、誤解はもう解けただろう!!いい加減離せ!!」
「.........嫌だって言ったら?」
「.........何.........っ、ひ.........」
いきなり顎を掴まれた、と思った次の瞬間。大我の指が俺の唇をなぞる様にして滑り、思わず声が漏れた隙に開いた隙間から無遠慮に侵入してきた。
驚いて顔を背けて拒絶しようとしたが、俺の顎をガッチリと掴んだ指に込められた力の強さに抗う事ができない。
「.........っ.........ァ.................ッ.........く.........」
「................エッロイ顔.................あのな、ミナ.........確かにお前とアイツとの間にやましい事は何もないって事はわかったが.........俺が知らないうちにアイツと仲良くしたり、俺の前でアイツを褒めたりした事に関して許すとは言ってないぜ?」
そう言って微笑む大我の瞳が笑っていない事に気づき、俺は自分の体が震え出すのを感じた。コイツ、さっきはもう全部許したというような口ぶりだったのに.........!!
「.........どうすっかな.........ミナは俺が見ていないとすーぐ他の男をたぶらかして、惚れさせて.........俺に嫉妬させたいだけだとしてもやりすぎだぞ?そろそろ、ミナは俺のモンだって事.........身をもってわからせてやろうか?」
「.........そん、な.........事ッ.................ッグ.........!!?」
「.........ミナの可愛い声は愛しくてたまんねえけど.........今は喋るのは許可してないぜ?勝手に喋ろうとしちゃダメだろ?なぁ、ミナ?」
「.........!!!!!」
そう言う大我の抑揚のない声に形容しがたい恐怖を抱く。.........だ、だめだ.........今回ばかりは、どうしたらいいのかわからない.........!!
.........何だかんだ、俺が本気で嫌がる事は絶対にしない。大我はそういう男だと思っていた。だから、俺も心のどこかで油断しきっていたのかもしれない。
どれだけ怒っているような素振りをしようとも、大我は必ず最後には俺を許す。そのはずだと、思ってしまっていた。
「.........お、オイ.......お前、それはいくら何でもやりすぎなんじゃ.........」
「部外者が俺らの事に口出してんじゃねえぞ。.........お前が口開く度に、俺は愛しくてたまんねえはずのミナにひでぇ事したくなんだよ.........口開くな、黙ってろ」
俺の状況を見かねてか、大我を咎めようとした坂上だったが、大我の迫力に気圧されたのか、ぐっと黙り込んでしまった。
.........坂上も驚いただろう。さっきまで自分と頭の悪そうな喧嘩をしていた男がいきなり豹変したんだからな。.........大我は、これだから恐ろしいんだ。
大我は気分屋なヤツで、感情の起伏が激しい。さっきまで上機嫌だったのに急に不機嫌になる、なんて事は日常茶飯事で.........だから、あまり関わりたくない、なんて思ってしまうんだ。
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