暑中につき

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 固形物と化して身体中にぶち当たるがごとき日差しが辺り構わず降り注いでいる。  茜は額の汗を拭いつつ呻いた。 「夏なんてなくなればいいのに……」  そんなことをのたまわる傍らの存在を静華は形の良い眉をやや潜めて見やる。 「どうしたいきなり?」  その言葉を待っていましたとばかりな感じを隠しきれない様子がバレバレではあったが、表面上は何食わぬ様子を装いつつ十数年の人生に対してさもうんざり仕切った様な表情を茜は浮かべてみせた。 「ただただ暑い中、しかも、夏休み期間なのに学校に行かなければならない…何故なの?何故そんな事をしなければならないの?教えてぇおじいさん~教えてぇおばあさん~教えてぇアルムの森たちよ~♪」 「…こいつ、いきなり唄い出しやがった。頭が腐ってやがる、暑過ぎたんだ」 「腐ってねーし!」  静華は激昂する相手を冷淡に見つめ、ゆっくりと口を開く。 「…でも、点数が足りずに夏休み補習を喰らっていると云う事実が」 「ぐぬぬー。…なら、アンタは何故学校に?」  静華は腰に手をやってドヤ顔で友人を見た。 「残念だったな、私は部活だ!」 「くっ…、殺せ!!」
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