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人の世のかなしみは 人の世のくるしみは 誰に守られ在るのだろうか 常の世のよろこびは 常の世のともしびは 誰に求めば在るのだろうか 人の世のしあわせは 人の世のあわれみは どれほど払えば手に入ろうぞ 然りて、 実の世の理は 告げ知らされずも心で知られり 紡ぎだすのは芸術に 僅かを託したこの世にすがれり 我すがれり 憐れまれ、虚しき言葉を紡ぎつつ ただひとつと知る方にすがれり 私が人を探し歩いて どこを見てきて、ここに居て 目で見えて、私を憐れむ方などは 他にはどこにも無いと知り これまで私の計らいは 他にもあらぬ方が知り 私は打たれ、虚しくも 憐れみの中でたたかふは 病を信ずか愛こそ信ずか いと星月を その憐れみにて過ごしたく 願いし細世に信ぜし心は どんな土より静かなり どんな水より優しけり こころ燃やするそよ風は 何よりはやく心を諭し 私の心は自分のものだと 払おうものなら 語ろうとするその前に 蒸発しながら消えていき よもやの我が身 以前のこれの虚しさなりて 移ろう心とこの世に生きて 何を紡げど言葉に過ぎぬが 言葉も借りる道具に過ぎず そこに宿りし魂こそが 愛であれ
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