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「君には魔王を倒す力があるの、だから私と一緒に魔王の城に行って!」
俺の部屋に突然現れた手の平サイズの女の子の妖精が、そんなことを言ってきた。
でも俺は、
「え、普通に嫌ですけど」
断った。
「?!え?ウソ?!え、え?!」
妖精は戸惑い驚く。
俺は理由を説明する。
「だって俺、畑仕事があるもん。野菜を育てないと生活できないし」
俺は部屋の壁を指さし、壁に掛かった麦わら帽子と虫刺され対策のポンチョを見せる。
「え?でも、あなたしか魔王を倒せないんですよ!世界を平和にしたくないんですか!?」
「そりゃ、世界は平和の方がいいよ。でもさ、ほかに誰かいるだろ?」
「いませんよ!他に魔王と戦える力を持った人なんて!あなただけなんですお願いします!」
妖精は手を合わせて、俺に頼み込む。俺は、妖精に 質問する。
「世界中探したのか?」
「へ?」
「だから、その力を持った人間を世界中から探したのか?って聞いてんの」
「イヤ、世界中とゆうか探したらあなたの力を感じたので、ここに来ました」
「俺は一人目なの?」
「・・・・・はい」
「いやいやいや、ビックリしたッ!!騙そうとしたじゃん!俺しかいないみたいな感じできたじゃん!他にいるかもしんないのに。え、怖ッ!」
「別に騙したわけじゃないですよ!
ただあなた『にも』力があるから助けて欲しくて」
「『にも』!!『にも』なんて言ってなかったじゃん。俺しかいないみたいな感じだったじゃん!事実ねじ曲げてんじゃん」
「ねじ曲げてはないですよ。ちょっと言葉が足りなかったかもしれないですけど」
「足りないで済む話じゃないよ。だってこれ、俺が乗り気だったら魔王を倒しに行くんだよ!死ぬかもしれないんだよ」
「まあ、そうですね」
「軽ッ!命に対して軽ッ!死ぬって相当なことだからね!終わりだよ、終わり。来世にGOだよ!若干18の青年が短い生涯を閉じるところだよ。てかさ、他の候補者のことはわかってんの?」
俺が妖精にそう聞くと、妖精の手に光が集まり手帳になる。
それをパラパラめくる妖精。
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