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今は昔、ある村のはずれにひとりの若者が住んでおりました。
その夜は月も明るく若者は、ふらふらと村を散歩しておりました。すると黒い着物を着た綺麗な女の人の錦絵が落ちているではありませんか。若者はその錦絵を見て「いいね」と思いました。
すると、不思議な事に錦絵からその女性が現れ、おいでおいでと手招きするではありませんか。
あたりには、キンモクセイの甘い香りが流れています。
「なんていい香りだ。」そう言って、誘われるように屋敷の壁を覗き込んだときです。
なんと、あの女性が側に立ち今度は手を引いて屋敷に招き入れるではありませんか。
以来、若者は夜ごとその屋敷を訪れ美しい女主人が語る物語を聞くようになりました。
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