シーン1

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「お疲れさまです、先輩」 石段に座した少女に、買ってきたアイスキャンデーを差し出す。 「ありがとう! 暑いのに歩かせちゃって、ごめんね」 「いえいえ。先輩は休んでてください」 大人たちも目を瞠る、力強い踊りだった。狐の白面が、華奢な少女に神通力を宿したかのような。 「ガキども、怖がったり手を叩いたり大忙しで」 「ダンス部冥利にも尽きるってもんだね」 ブレイクからソシアルまでこなし、果ては地域の祭りに呼ばれるとは。 「長く続くといいね」 「何が」 「このお祭り」 先輩のどんぐり眼に、参道ではしゃぐ子供たちの、まばらな姿が映っていた。 「……じゃあ、心ばかりの散財でも?」 「あたし、カステラ食べたいな」 「おごりますよ」 「よし、行こう!」 アイスキャンデーの残りをしゃくしゃくと噛み砕くと、彼女は勢いよく駆けだした。 小さな後ろ姿に、俺は願った。 「どうか、長く続いてくれ」
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