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やがてボールがバットから離れていくのを見て、僕は額の奥のスイッチから意識を離した。
刹那、時間の流れが戻った。バットがボールを弾く甲高い音。ベンチからの驚愕の声。打球は右中間へ伸びていく。センターとライトが打球を追う。
超えろ、せめて落ちてくれ。祈りながら走る。一塁ベースの手前で外野手が追うのを止めるのが見えた。打球はフェンスまでも越していく。
審判が手をグルグルと回した。ホームランの判定。ベンチが狂喜乱舞している。値千金の一打。しかし僕は喜べないでいた。してやったりという思いはあるが、どこかズルをしている気持ちが拭えないのだ。
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