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「どこから湧いて出てきた」
試合を見に来ていたのは知っていた。でもそれ以降姿が見えず、僕らがミーティングをしている間に帰ってしまったんだと思っていた。
「ひどーい。私を虫扱い?」
「もっと普通に登場しろってこと。っていうか近過ぎ。汗臭いから離れた方がいいって」
気づけば体をピッタリと引っ付けてくる。ユニホームから制服に着替えているが、シャワーを浴びたわけではない。
「汗臭いのも勲章でしょ。ナイスバッティングだったね」
そう言いながら、鼻をつまんで顔を顰める。
「やっぱ汗臭いよな。いいよ、帰ったらすぐに風呂入るし」
「なんなら一緒に入る? ちょっと前までよく一緒に入ったよね」
「何言い出す? 一緒に入ったんだって小学生の頃の話だろ?」
目の前には田中と友野がいる。慌てないはずがない。
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