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「一つ聞いていいか?」
「何?」
フォークをくわえたままの華子の顔。無防備そうだが目は笑っていない。
「華子は、あの日、どうして屋上にこだわっていたんだ」
1年以上僕の頭の中でくすぶり続けた疑問。
屋上に上がった時のドンピシャのタイミング。ミーティング後に迎えに行ったのは華子が指定したから。
華子は多分、全てを知っていた。ストーカーに追い詰められること。5階から突き落とされること。そして僕の能力のことさえも。
しかしそうなると、逃げ道のない屋上に留まるリスクを犯すことの説明がつかない。助けられると分かっていても無傷ではいられるわけではない。それなのに――。
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