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目の前の景色がスーパースローに変わる。力を振り絞って崩れる杉田の形相。肘しか見えなかった腕はやがて手首から先も見えてくる。4シームの握り。ストレート。読み通りの配球。
指先からボールが離れるのが見えた。
この能力の優れているところは、ゆっくりとした時間の流れの中で、体を動かすことが出来るということだ。全く普段通りと言うわけにはいかない。時空の歪みにあがなう抵抗と戦い続けることになる。ゆっくりとした動きしか出来ないが、それを差し引いても普段よりも遥かに早く動けていることは体感済みでもある。
僕はバットを始動させる。ボールのやや下。そこにバットの芯を当てた。問題はボールがバットに接触しても、焦ってバットを振り抜こうとしないことだ。強振すると凡打になることが多い。押されてる力をバットで吸収しながら、ゆっくりと押し出していく。
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