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「やっ! 嘘でしょ!? やめ……!」
「……ピカピカだから、オイラのくすんだ100円とすり替えて返すチョメ」
「アクトーー! ……って、え?」
事態が脳ミソに沁みてこない彼女の手を、キュッとカメ手が握った。
「ほい、ありすん。返して来てくれチョメ」
カメ手が離れた後に残されたのは、くすんだ方の100円玉。
「………………なんか、ぎゅんってキタ……」
「早くするチョメ! 帰ったらオイラのバックダンサーするチョメ!」
「はぁーい、チョメさまー♪」
女心は夏山の天気のよう。それも真夏の魔法だから、Sounds good!
――そしてこちらは、体感温度60度の焼きそば屋。
「…………」
クールでロンリーな黒猫は、やはり寡黙に灼熱の鉄板と闘っていた。
「ニャ……8番パラソル……に、焼きそば3個……。その後は13番パラソル……」
目眩がするのは当たり前。
ぎらぎらの太陽に上乗せして鉄板の熱さがヌコリンを襲う。
だがチンタラ弱火で作ったペッチョリ焼きそばなんて、完璧主義の彼には耐えがたい屈辱だ。
「あー、にゃんこの焼きそばってココだわ。すみませーん、焼きそば二つくださーい」
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