28人が本棚に入れています
本棚に追加
「はいっぴ。だから王子さまは姫たちを幸せにするために、普通の三倍どんばるんですっぴー」
小さなおっちゃんの王子さまが、身体の三倍もある焼きそばを担いでテテテと走る。
「やっと手に入れた働く意味なんですっぴ。だからワタシは、今日も元気に働ける……、じゃあ8番行きますっぴ」
テテテ……の後ろ姿が、なんだかとってもカッコいい。
「……うん。どんばってプギ」
つぶやいて、アタチはブースに戻った。
なんだかほっぺに感覚がなくって、寒気がするみたいに……暑い。
「暑すぎるプギ……、もう夏なんてなくなればいいのに……」
「だめチョメ!」
汗だくのチョメさんに言われて、アタチはハッとした。
「……そうニャ。それは、だめニャリ」
ヌコリンも目が虚ろで、コテがおそばの無い鉄板をこすってる。
「ん……そうだったプギ。ゴメン……」
「……気合だチョメ! チャーコ、24番にコーラ10本……!」
「はいっ」
「焼き……そば5個ぉ! 125番、ニャ……リ……!」
「は、い……ブギ!」
「チャーコちゃん、フラッペ23個、300番ですふわー」
「は……、プ、ギ……」
突然、アタチの中の太陽が真っ白になった。
お空に大きな白いフラッペが見える……。
(プギ……?)
フラッペの向こうで、ハチがアタチに手を振って……。
……急にびっくりした顔……? コッチに……来、る……。
「――チャーコ!? カイ、来て! チャーコが……!」
「きゃーー! チョメさまぁ!?」
「ヌコリンさま!? しっかりですふわー!……」
夏が回る、クルクル回る。
アタチたちはフラッペの夢を見ながら、永遠の眠りについた……。
最初のコメントを投稿しよう!