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「あれ? よっぴぃさんは?」
「プギ? 今まで居たのに」
すると、部屋の隅で洗濯物を畳んでいたハチから声が掛かった。
「カイこっち。なんかチャーコのご飯エプロン畳んでる」
そこには、みかん色のふかふかボディが、エプロンの端っこを持ってテテテ……と小走りする姿。
――How cute!
「よっぴぃさん、可愛いプギ……♪」
「侮るニャ。ああ見えても彼は、妻と2匹の娘を抱えた戦士。皆星町の全コンビニ、かけ持ちでバイトしてる強者ニャリ」
この町でよっぴぃさんと言えば、働き者の代名詞。
『深夜2時、三丁目と五丁目のDマートに同時に存在する』という町伝説があるほどだ。
「恐妻家でも有名チョメ。月9ドラマも土下座するほどの大恋愛だったそうな」
「プギッ!? それ詳しく聞きたーい」
「あーもう。チビたちが脱線してるから戻って、よっぴぃさん。お手伝いはいいから」
「すみませんっぴー。ワタシ仕事してないとシッポがパタパタしちゃうんですっぴー」
ハチに首の皮をつままれて、フカフカな彼はカイの手に引き渡された。
「はは、当日は尻尾がパタつく暇はないですよ。今年も参加ありがとう」
「いえいえー。ワタシも夏フェスのおかげで、普段できない家族サービスができますっぴー」
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