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夏休みの真ん中。あの人は僕をメールで呼び出した。
『アソビニ行クヨ』
一気に体感温度が上昇した。
なぜ僕は電報のような文面を寝起きに読まないといけないのだろうか。いたたまれないような、言い換えると穴があったら入りたい衝動に陥った僕は、こう打ち返した。
『嫌だといえば』
ピロリン。秒速で返事が来た。
『今、私アナタノイエの前』
だ、そうだ。まるで僕の返答内容なんてお見通しだと言わんばかりの内容だった。
――なんなんだろう……このやりとりは。
冷静に考えると、拒否権を行使するほうが無駄な労力に思えた。僕は寝巻き姿のまま玄関迄行き、ドアについた覗きこむアレを覗き込んだ。
居た。まあ、いるだろうよ。
「開けてよー」
ドアの向こうで彼女の声がした。
僕はドアを開けた。
「やあ、陽子さん。今日も元気そうだね」
そう言うと彼女はこう返した。
「もちろんですとも、光一くん」
僕の彼女の陽子さんは、今日も元気そうだった。
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