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――高校二年生の時、陽子さんはある奇病にかかった。
それは6月から8月の間、体の機能が徐々に失われていくというものだった。
最初は足先が動かなくなった。その後は膝から下が、腰から下が、今では胸から下が自分の意志では動かなくなっている。
腕を動かしたり、笑ったりは出来る。
けれども、最近、声帯がうまく動かなくなったせいで自分で話せなくなった。
――この病気の一番の特徴は『夏以外の季節では進行しない』ということだ。
秋冬春を順調に進んだとしても、夏になればまた悪化する。
そういう病気だった。原因は未だにわかっていない。
――けれども、陽子さんの症状が良くなったことは一度もない。
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