生はまこと散華(さんげ)に尽きる

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  壁伝いに歩きながら、 パチンとリビングの ライトをつける。 誰であろうと、 私の心の中は変わらない。 そう思うけれど、 桃さまと公私ともに 引き離されたら── 正直、 どう生きていったらいいかさえ わからないレベルだ。 いっそ溺れて、 溺死でもしてしまえればいいのに。 ……たとえば 彼の大きな手に、 ぎゅうぎゅうと喉を 絞められながら、とか。 そんな趣味はなかったのに、 桃さまと交わっていると、 自分自身も知らなかった そういう部分を、 不思議と肯定できてしまう。 絞首は、 溺死とは違うけど。 死ぬとき、 死ぬほど苦しいのは どちらも同じに違いない。 思ってから、 意味不明なことを 考えてるなと自分でも思った。 .
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