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同じ路線の電車に
再び乗り込んで20分、
そう遠くはない街に
降り立った私は、
うっすらとした
記憶を頼りに通りを進む。
その途中で、
何度も脳内で「なにを今さら」と
冷静な自分に嘲られたというのに、
私の足は
ちっとも止まらなかった。
街灯のおかげで
夜でも充分明るいこの道は、
記憶よりも少し古びて
くたびれかけていた。
歩道を彩る
赤煉瓦のタイルからは、
光沢が失われている。
この街が折り重ねた時間は
足下のタイルだけでなく、
アンティークタイプの
街灯にも刻まれていた。
深いグリーンは黒ずみ、
あちこち錆びて
塗装が剥げている。
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