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すぐに深刻ぶるのは、
成熟したあとの人間の
悪いところだと思う。
けれど今は間違いなく
深刻な状況だった。
だって、
酔いしれる余裕などない。
ひとけのない夜道を歩き、
私は近くの公園を
流れる川にかけられた
橋の上にいた。
きれいに整備された
公園内は見通しが良くて、
四方もライトが点いている。
この場所で
待っていなさい、
と彼が言った。
僕の性分を覚えていてくれた、
と嬉しそうに
言い落とした乾先生は、
私の居場所を
すぐに言い当てた。
まさかずっと
見張っていたのかと
思ったけれど、
杞憂だった。
近くを通る線路の踏切の音で、
私がこの街にいると
彼にはわかったらしい。
ふたつめ、よっつめ……と
偶数回の踏切の音が
妙な割れ方をしていると
言っていた。
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