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だから私だって
だれかと添うどころか、
これという相手を
決めることさえ
こんなに難しいと
感じ続けてきたのに。
「あなたにとって、
女って、
なんなんですか……?」
無駄だと知りながら、
つい口をついて出た。
「替えのきく、
便利な道具なんですか」
「なかなか
きついことを言うね」
「きついのは……
ひどいのは、どっちですか!?
一度は愛した人のことを、
よくもそんな」
「きみの口から、
そんな甘っちょろい言葉を
聞く日が来るとはね」
やれやれと肩をすくめながら、
微笑みをたずさえた
口元はそのままに、
乾先生はキロリと
鋭く私を見る。
「きみだって、
さんざん僕を
楽しんでただろう?
他人の夫なのに」
.
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