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「瑞島さんの結婚のことも、
彼が決めることです。
彼が真剣に考えて
ほかの人と結婚すると決めたなら、
私も引くことくらい知っています。
そうでないなら、
私は譲りません」
名乗ることもしない
兄嫁さまとやらは、
前を通り過ぎようとした
私の腕を力いっぱい掴んだ。
「いた……っ」
「あんたね、
自分がなにを言っているか、
わかってるの!?」
「正しさを
振りかざす気はありませんが、
ただの正論です」
面倒だと思いながら、
彼女の顔を見る。
まともに見た瞬間、
びっくりした。
さっきは一瞬、
負けそうだと思ったのに。
会社で浦川さんを
無茶な言い分で
言いくるめようとしていた
女性と同じとは思えないほど、
ぐちゃぐちゃに弱い顔だった。
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