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ほんの数分で
脅威でもなんでもなくなった
女性相手に、
私は軽く手を振り払った。
全身で
すがり付こうとしていた
彼女は「あっ」と
しおらしい声を出して
ふらつく。
本当にこの人、
桃さまや浦川さんの
脅威なの。
「私の後輩を、
これ以上悩ませないでください」
「!? 人の心配なんかして、
そうやって桃也の気を引こうと……」
「あなたの価値観で、
私をはからないでください。
そういうのが一番
いやがられるんですよ」
「いやがら……」
絶句した、
マネキンのような
薄っぺらい美しさを
誇示する女性をもう一度
一瞥して、
溜め息をついた。
「瑞島さんと
藤原さんをこれ以上傷つけたら、
こちらこそあなたを許しませんよ」
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