0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
『もう!早く帰れ!!』
洗面所で聞いていた二人の視線が同時にぶつかる。
あーあ。
また今年もか。
『帰れだって!』
クルリとした目を余計にくるくるさせながら。
一緒にいるんだから聞こえてるよ。
『心の声が漏れちゃってるねー。』
リビングに聞こえないように小さな声で。
声のトーンも抑えながら、言う。
あーあ。
最初はいいんだ、最初は。
...最初だけ。
こちらも気を使ってるし。
お互いにね。
久し振りに会って、話す事もたくさんあって、まあ、考え方が著しく違うけど。
それでもお互いに、どうにかこうにか危なげなくやってきたと思う。
日にちがたつに連れ、難しくなってくる。
間に人が入る分、余計悪い。
最初のコメントを投稿しよう!