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ジャクヤは明るく返してきた。
「その話だね。待ってくれ。無線で話せるようなものじゃない。タツオ、今から念を送る。さっきあげた紙を出してくれ」
ディスプレイからジャクヤが消えた。タツオは息をのんだ。てのひらに乗せた白い紙片から、軍服ではなく白い羽織(はおり)袴(はかま)を身に着けたジャクヤがぼんやりと数センチのおおきさであらわれたからだ。
「きみは普通に話してくれればいい。これは昔の修験道の通信手段だ」
「じゃあ、聞こう。なぜワタルを自分でやらないんだ」
近衛四家筆頭、天童本家の次期当主への暗殺依頼というのは、通常なら計画が露見しただけで軍法会議ものだった。
「ぼくにはできないんだ」
「どうして。ジャクヤのほうが技はあるんだろ」
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