世界はそれを家電と呼ぶ

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「何で……?ぼ、僕のこと嫌いになったの!?」 いや、違うんだけどさ。俺としてはずっと君といたかったんだけど、仕方ないだろ?大人が決めたことだ。俺なんかは無力なんだよ。ただ、俺とはずっと一緒にいられないっていうだけだから。 「いつも僕を見つめてくれてたじゃないか……食いつくように見てたじゃないか!」 それは間違ってないけど……そういう時代なんだから仕方ないだろ? 「時代がなんだよぅ」 だってさ。 もう4Kの時代だよ? 「まだ見れるよ!普通に見れるよ!」 「甘い!甘いわ!」 「この声はまさか……43型液晶テレビ4K対応!?」 「その通り!この業界に古女房なんて言葉はないのよ。廃棄処分か誰かに譲られるか、店に売り飛ばされる運命なのよ。ウフフ。綺麗な私の方がいいに決まってるわ」 「違うよ!あっくんは僕を捨てたりしないもん!それにそんなことを言ったらあなただっていつかは……」 あっくん言うな。ちょっと萌えるだろが。捨てるわけじゃなく、うちの婆ちゃん家に行くだけだし。 「今輝ければいいのよ。それが私たちの運命」 「そんな運命僕が変えてみせる!僕が業界の闇に溺れるテレビ達を救ってみせる!」 「無駄よ……人の欲望は止められないわ」 「あなたが僕の限界を決めないで!」 えー……閑話休題。何この状況と思われた方、実は俺は子供の頃から電化製品が人っぽく見えてしまうんです。大きさは変わらないのになぁ。 あと声が聞こえるんです。あらゆる医者にも通ったけど異常ないんです。 今やり取りもちょっとテレビっぽい(?)女の子二人が言い争いをしているようにしか見えないという。 俺のボキャブラリーでは説明が難しいので挿し絵をお願いしたい。それにしてもなぜだ神様。俺のこの能力に何か意味があるのか教えてくれ。とびきりクールな理由を頼んます。
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